12月13日から江波線でPTPS(Public Transportation Priority System:公共車両優先システム)の実験が始まったとマスコミ報道がありましたので、取材に出かけてきました。中国新聞の報道によりますと、PTPS実証実験は来年3月中旬までとなっています。
取材は舟入本町電停から開始しました。沿線の様子を観察しながら舟入川口町電停まで接近してきたところ、電停の近くの電柱から長い竿が伸びており、この先端にPTPSの光ビーコンが設置されていました。光ビーコンを観察すると、車道と軌道敷きの境目付近の上空に設置されていました。電車から見ると左上に見える状況でした。
他の二箇所の光ビーコンは、自動車の通行量調査のセンサーを取り付けている竿を延長して光ビーコンが設置されていました。
到着した電車の運転台の様子を観察してみると、マスコンやスピードメーターなどが設置された箱の前方の窓ガラスまでの隙間にPTPSの車載装置のセンサーが取り付けられているのを発見しました。このセンサーはPTPSの光ビーコンの方向を見上げるように取り付けられていました。しかし車載装置は、江波線を走る全ての電車に設置されていないようでした。どうも実証実験のため、運行状況のデータを収集するのに必要なものだけに設置されているようでした。
PTPS(Public Transportation Priority System:公共車両優先システム)は、すでに全国でバスなどで実用化されているシステムで、広島でも一部のバス路線で実施されており、バスの運行時間の短縮したという実績が報告されているものです。このPTPSを路面電車でも応用しようとして、今回の実験となったようです。なお今回の路面電車での実験は全国でも初めてのことだそうです。初めてのことなので、実際に路面電車にPTPSを実施したときのデータが存在しないと思われ、今回のPTPSの実証実験の意義があると考えられます。
このPTPSの活用によって、現在よりも速く目的地に到着できるようにダイヤを組むことが出来るなどのメリットが考えられます。(現在は実証実験のためかダイヤを変更していないようで、電停に早く到着しても、なんらかの形で時間調整を行うものと思われます。)
しかしPTPSの路面電車への応用を考えた場合、どれほどの有効性があるのか疑問に思えることもあります。
たとえば、バスの場合には、一般の自動車に混じってバスが運行されていることから、自動車の渋滞状況によってバスの運行にも遅れが生じるものです。しかし広島電鉄などの路面電車では、広島市の条例によって、自動車の軌道上の走行が禁止されていることから、自動車の渋滞とは関わらず電車の運行が出来るようになっています。
電車の運行の遅れの大きな要因の一つは利用客の乗降時間が長引くことがあげられていて、これに対応するためにICカードによる運賃受領と、電車の全ての扉からの乗降が出来るようにすることで整備が進んでいる状況となっています。
このことから、路面電車での現実的な運用に向くものかどうか疑問に思うところもあります。
2008年12月15日
メルマガ・路面電車 石崎達也
このメルマガ解除方法は下記URLの5番です。
http://www.tatsuya.dnsalias.com/mail-magazine/index.htm