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2006-01-16 身体障害者の介護者運賃無料化の意義

 広島電鉄では2006年1月16日から広電電車に限って身体障害者を介護するために一緒に同乗する人の運賃を2名まで無料化されました。従来は付き添いの介護者も身体障害者本人と同じように5割引の運賃となっていました。これと同時に親などに付き添われて乗車する小児運賃も従来の1名無料から3名無料へと拡大されました。

 今回の運賃改定の特徴は身体障害者本人や小児を連れて歩く親などの主体的・主導的な人物の運賃はそのままに、それに付随・同伴する人たちの運賃を無料化や拡大したことにあるように思われます。
 今回の運賃改定はどのような意義があるのかについて、特に身体障害者の介護者無料の意義について考察してみました。

■広電電車のハードウェア面の現状
 1999年6月から運用が始まった超低床電車のグリーンムーバ−は12編成が存在しています。そして2005年3月から運用開始となった超低床電車のグリーンムーバ−マックスは執筆時点で1編成が存在していて、2006年3月末までに2編成追加の合計3編成になります。広島電鉄の投資家向けの資料を読むとグリーンムーバ−マックスは更に2008年3月末までに合計10編成程度になると記載されています。この新旧の超低床電車の合計22編成をもってしても広電電車の全てを超低床電車に置き替えることはとてもできません。また利用客の少ない路線ではワンマン電車が運行されていて、超低床型のワンマン電車そのものが広電電車に存在していません。ワンマンの超低床電車の計画も検討されているのかさえ分からない状況です。ワンマン電車主体の路線では、超低床電車に乗車することが出来ない状況なのです。

 このような状況の中ではハードウェアの車輌面でさえも超低床電車を100パーセントにするためにはかなりの時間が掛かることは必至の状況なのです。そして電車乗り場などの地上設備もまだまだ不十分なところも多く、積極的な設備投資を行いバリアフリー化を目指して改善をしている努力は認められますが、ハードウェア面の課題はまだまだ山積状態にあると言わざるを得ません。

■身体障害者を取り巻く環境の変化
 そして医療や介護の技術の進歩や介護用具の発達によって、従来自宅や医療福祉施設で閉じこもり状態であった身体障害者の人たちが社会参加を求めてどんどん出かける機会が多くなってきました。また医療福祉制度の見直しなどによって医療福祉施設での介護から自宅での介護へとシフトが進む関係で、自宅から医療福祉施設まで通う身体障害者も増えてきます。このような身体障害者を運ぶ公共交通機関の一つとして広電電車は従来に増して期待と責任が高まっています。

■広電電車の経営課題
 広電電車を取り巻く環境の中で最も大きな影響を与えているのが少子高齢化に伴なう利用客の減少です。利用客の利便性を考えると電車の運行本数を減少させるなどの施策は積極的に行って欲しくないものですし、更なる利用客の減少へと繋がることは廃止されたローカル鉄道などに見ることができます。収入が増加しない状況であれば、当然に支出を抑えることを考える必要があり、支出の大きな割合を占める人件費抑制のために大型連接電車の前中扉車掌の廃止などを行って支出を抑える努力などが図られています。なかなか人員を増加させることが困難な経営環境にあります。

■諸課題の解決策
 このように利用客が減少してゆく中、利用客の利便性の低下を最小限度に抑えつつ経営の合理化を進めながら、身体障害者や高齢者などへの配慮が求められるという難しい課題が広電電車に求められているのです。この課題の一つの解決策として考えたのが、今回の身体障害者の介護者の無料化ではなかと考えます。

 従来から車いすなどを使う身体障害者が従来形の電車に乗車するときには、乗務員が乗車の補助をしていました。大型連接電車では運転士と車掌の2名の乗務員がいますが、ワンマン電車では運転士1名だけとなっています。介護者のいない身体障害者が従来形の電車に乗車しようとすると、乗務員だけでは不足で電車の利用客の協力も得て乗降させなければならない状況もままありました。そのため身体障害者には介護者を伴なって乗降してもらった方が、身体障害者自身の安全面や広電電車の人員対応の面において有利になるものと思われます。

 身体障害者に随伴する介護者を無料化は、積極的に介護者が随伴が出来るようにする仕組み作りを行ったものと考えています。特に介護者2名まで無料となっているのは、車いすの左右または前後をこの2名の介護者によって持ってもらいながら、身体障害者の乗降をしてもらおうと考えているものと思われます。これにより身体障害者のために人員を増加させなくて済むという広電電車側の経済的なメリットもあるわけです。また乗務員が身体障害者に対応する時間は、運転の遅れや乱れに繋がっていました。この身体障害者の乗降に伴なう電車の遅れや乱れも少なくすることが出来るものと思われます。電車の遅れや乱れが減少することは一般の利用客にとっても時間的なメリットとなります。これらのことから介護者の無料化は、身体障害者だけでなく、広電電車や一般利用客にとってもメリットのある、とてもよく考えられた施策だと思われます。

■これからの課題
 現在は身体障害者の介護者に限定されていますが、高齢で足腰が弱くなり車いすや歩行補助具を必要とする人たちが急激に増加すること予想されるため、今後はこのような高齢者に随伴する介助者の取り扱いについても、身体障害者の介護者なみの対応が求められてくるものと思われます。ボランティアなどで車いすの介助をするために随伴する人たちを一定の要件(特定組織で認定されたボランティアの人など)で無料化することを期待しています。

 私は広電電車に限らず、公共交通全般において、身体障害者や高齢者などの移動に不便をする人たちに随伴して、乗降の介助を行う人たちを無料化することを望んでいます。これは身体障害者や介護者の経済的な負担の軽減ということだけでなく、公共交通機関の事業者にも大きなメリットがあるはずだからです。全ての公共交通事業者の検討課題として欲しいと願っています。

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著作:石崎達也 制作:有限会社タツヤ模型