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2002-06-25 方向幕の見易さ |
路面電車の方向幕はその電車の行き先を指し示すもので、この方向幕を見て電車を選ぶものである。もちろん終端駅などでは行き先表示施設が充実しており電車自身の方向幕を確認する必要もない場所もあると思うが、路面電車などの電停などでは場所の関係もあり充実した電車の行き先表示施設を設けることはとても不可能なことであり、電車そのものに取り付けてある方向幕はとても重要なものなのである。この方向幕を読み違えたりして乗り込むと利用者の思わぬ方向に行ってしまうことは当然のことであり、方向幕は大切な情報を利用者に告げている部分であることは明らかである。
最近バスを中心にしてLED表示の方向幕が普及している。この流れは路面電車にもだんだんと新しい車輌を中心にして取りいれられ始めているようである。今日は方向幕に関して考察してみたい。
バスなどは最近の規制緩和の関係もあり盛んに路線が見直し変更されているため、いちいち方向幕を発注して取り替えていたらとても大変なことになってしまう。そこで方向幕に表示する内容がデジタルデータになっているLEDによる方向幕の場合、デジタルデータを変更するだけですぐに内容が書き変わってしまうのは大変便利で、コスト面や切り替えに要する時間の短縮が図れるなどの理由からこれからもどんどん普及してゆくに違いない。
しかしLEDによる方向幕にも問題がないわけではない。もうこの布製の方向幕とLEDの方向幕をどちらもご覧になったことがあると思うが、この両者には利用者から見て大きな違いが一つあるのである。写真のように直射日光が方向幕に当たると表示内容が見えにくくなることである。先ほど述べたバス路線の切り替えの話などは所詮利用者には関係のない話で、利用者はこの電車がどこに行く電車であるかが分かることが大切なことなのである。
夜間はLEDの方向幕の方がよりはっきりと見える利点もあるが、電車の運用されている時間を見れば太陽が昇っている間中は少なくとも電車は走り続けているのである。夜間はどこの鉄道事業者も6時間余り動いていないこともあり、時間の長さから見れば昼間の時間にどれだけよく見えるかが問題となることであろう。また朝夕のラッシュアワーの時間帯には多くの乗客が利用するものである。この時間帯は太陽も東か西に低い位置に位置していることが多く斜光線で方向によっては方向幕に直射日光がよく当たるのは当然のことである。このため、この見難いLED方向幕の使用に関しては十分に配慮しなければならないであろう。
今の時代、ユニバーサル・デザインなどという言葉がもてはやされており、方向幕に関しても多少の視力の弱い人でも十分に読み取れる大きさと表示方法が現在求められている。ましてや健常者にとっても見難いものは問題外であろう。
路面電車の路線はバスの路線に比べて路線変更が少ないものである。路面電車の方向幕の表示方法に関しては、現在のところLED表示に比べ布製の方が見やすいこともあり、また別の新技術による表示方法が出るまでの間は従来どおりの布製の方向幕を採用した方がよいのではないかと私は考えている。
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LED方向幕の例 写真に写りにくい特性もあるが確かに見難いものである。 |
布製方向幕の例 直射日光が当たるほどよく見える布製の方向幕である。 |
その他の方向幕に関する話題であるが、広島電鉄では2001年11月1日のダイヤ改正にあわせて方向幕のデザインを変更して物議を醸したことは記憶に新しいものである。旧型電車では方向幕が小さく、記載内容が多すぎて方向幕の内容が読めないというものであった。このときにもユニバーサル・デザインからは外れていると私は批評していたものであった。せっかくグリーンムーバーなどの大量投入で人に優しい乗り物を目指すはずの広島電鉄が、こんな大切な方向幕を軽く扱って「人に優しくない」とレッテルを貼られ利用者の失望を買ったのである。
私は方向幕などの大変重要な情報を指し示す部分に関しては、単にデザイン会社や鉄道事業者だけで決定するのではなく、事前に市民・利用者の代表者や有識者の前に提示して意見を聞くぐらいの配慮があってもよいことと思っている。だれがこの路面電車を使うのかよく考えれば当然のことだと思うし、行き先の分からない電車には誰も乗らないものである。決して方向幕の取替え費用や維持費が安いなどといった鉄道事業者の論理だけで決めてはならない部分だと私は考えている。
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著作:石崎達也 制作:有限会社タツヤ模型