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2002-07-21 事故防止へ昼間のヘッドライト点灯と抗生物質

 最近交通事故を防止する目的で昼間のヘッドライト点灯を行っている物流事業者や旅客事業者が増えてきている。交通事故防止に役立つ活動はどんどんやってもらっていただきたいと私は思っている。毎日の取材でもタクシーなど常時点灯させて走行している事業者が広島に存在していることも知っており、その効果について 私は一抹の不安を抱いているのである。

 一体どんな不安かということであるが、「人間の慣れ」なのである。人間は一定の刺激が入り続けるとその刺激に関する反応が鈍くなるのである。自動車は騒音や振動を立てながら物体として移動しているものなので、もともと注意を引く存在であったはずなのである。しかし慣れでその存在を無視しているのが現代人なのである。その刺激が少なくなったので ヘッドライトの点灯で注意を促そうとしているのであるが、ヘッドライト点灯を実施した当初は注意を促す効果があることであろうが、早晩この様なヘッドライト点灯に慣れてしまって無視されてしまうのではないかという不安なのである。この ヘッドライト点灯で効果がなくなればクラクションを常に鳴らし続けて注意を促す手段を選ぶのであろうか?(笑)

 ヘッドライト点灯に慣れてしまうこと自体には一見何の問題もないように思われるが、実は結構深い問題が潜んでいると私は思っている。自動車を運転していて前方に危険が予知されたときにはヘッドライトを点灯させてみたり、クラクションを鳴らしてみたりするものである。日頃ない刺激が急に加わることによって、他の自動車や歩行者などに注意を与えることが出来るのであるが、もう常にヘッドライトが点灯されている状況に慣れっこになってしまっているとヘッドライトによる注意を促すことが出来なくなってしまうのである。すでにヘッドライトを点灯させているので逆に消すしか手段が残されていないのである。もちろんハイビームなどのより強い刺激があるが、前出のように段々と刺激を強めて行く過程でこのハイビームも注意を促す刺激がエスカレートしていればきっと意味のないものとなっていることであろう。

 自分以外の他者に対して注意を促す方法を考えることは大変よいことであるが、注意を促す刺激には慣れが生じるものであり段々と無効になってしまうのである。これは抗生物質とMRSAなどの競争のようになってしまうことに例えられるのではないかと思っている。人類は従来の抗生物質で効かなくなった病原菌に対してはより効果の強い抗生物質を生み出してきた。しかし現在では幾ら新しい抗生物質を生み出しても常にこれを上回る病原菌が生まれてくるのは防ぐことは出来ないとされている。ここで抗生物質は交通の安全対策とすると、効果の強い抗生物質(ヘッドライトの常時点灯など)を使い続けていると、この抗生物質に対抗した病原菌(人間の慣れなど)には対抗手段がなくなってしまうことを意味すると思っている。

 もう抗生物質が効かない病原菌が現れるような治療法(安全対策)には、ちょっと注意して考える必要があると私は思っている。最終手段は常に残しておくことも必要ではないかと考えている。

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著作:石崎達也 制作:有限会社タツヤ模型