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2003-05-25 宮島線急行電車運行への期待と不安 |
2003年(平成15年)5月24日に広島電鉄は宮島線で急行電車の運行を開始すると発表した。
報道各社の情報をまとめると次の内容となる。
| 2004年(平成16年)4月から商工センター入口駅から広電西広島駅までの区間で上り線に限り急行電車を運行する。
この急行運転のために必要な追い越し施設として待避線を商工センター入口駅から草津南駅までの間に設ける。 そして急行電車は朝のラッシュアワーに4本運行する。 途中の草津南駅と東高須駅までの5つの駅を通過してすることにより商工センター入口駅から広電西広島駅までをノンストップで運転して、運転時間を3分ほど短縮する予定。 待避線の工事の着工時期は不明となっているが、事業費はおよそ4億円を見込んでいる。 そしてこの急行運転が行われる翌年の2005年(平成17年)には急行運転区間を拡大して広電宮島口駅から広電西広島駅までで運行を行いたいとしている。この場合、更に広電廿日市駅から山陽女子大前駅の間に待避線を追加する計画である。これにより広電宮島口駅から広電西広島駅までの乗車時間が6分短縮されるそうである。 |
なお中国新聞の報道によると「沿線では、急行の運行を望む声が以前より出ていた。」とされており、沿線住民からの希望に応える形でこの急行電車の運行を決めたことをうかがわせる内容となっている。利用者の声を聞き、こうして利用者の利便性を高める運行を行うことによって収益を向上させることは利用者と広島電鉄両者にとって有益なことと考えられ、歓迎すべき内容だと思われる。
利用客の立場から見れば、朝のラッシュアワーの時間に1分でも早く目的地に到着したいという欲求は根本的に持っているものである。今回の急行電車はこの早く目的地に到着したいと言う欲求を満たす『可能性』があると言う点で評価できると思っている。しかし私が報道された記事を読む限り見えてこない部分もあり幾つかの懸念が頭の中に浮かんでくる。現在広島電鉄がどのような形で急行電車を運行するかに寄って利用客を満足させるか・不満を抱かせるかと大きく違ってくると考えている。
私の一番の懸念は急行電車の『積み残し』である。前述のように利用客の立場から見れば早く目的地に到着したいと言う欲求を持っており、この欲求を満足させるために急行電車を運転するとなると、急行電車に乗り込めないといった事態が発生したときには利用客の不満は一気に爆発する可能性がある。誰も次の電車が急行電車で直前の電車より先に広電西広島駅に到着することが分かっていれば、どのような行動を取るかと言えば直前の電車を見送って次の急行電車に乗り込もうとする心理が働くのは当然のことであり、急行電車に利用客が集中するのは当然のことであるからだ。
利用客の立場からすれば急行電車が混雑していても先に到着できるのであれば我慢してでも乗りたいと思うはずである。これを裏付けるものとして、現在でも遅延が発生した電車はどんどん遅れてゆく現象で見ることができる。これは遅延した電車の次の電車を利用すれば空いていることは分かっていても、もうこれ以上電車の到着を待ちたくない・早く目的地に到着したいという利用客の心理が働くため無理をしてでも電車に乗り込もうとするためのものである。このため遅延が発生した電車は次々と遅れてゆく現象を発生させることはここの読者さんなら当然ご存知であろう。
この心理現象から急行電車に利用客が集中・殺到すれば、当然積み残しが生じたり、無理な乗り込みのために停車時間が長くなりこの急行電車を基点として後続の電車に遅延が生じるなどの問題が発生する可能性が当然予想される。
急行電車に乗り込めなかった利用客は、急行電車で早く目的地に到着できると思っていたら急行電車の次の電車に乗ることになり結局遅れてしまったという笑えない状況になる可能性がある。
この急行電車に乗り込めない乗客に対して広島電鉄が「一本前の電車で通勤通学しても3分しか時間の短縮はありませんよ」などと懐柔策をとるならば、この3分を短縮するための急行電車そのものを自己否定することとなる。利用者はこの3分を求めて急行電車に乗ろうとしているわけであるから、この3分間の時間短縮の欲求を満たさなければ急行電車の存在意義が無くなるわけである。乗れない急行電車は存在しないものと同じである。
また急行電車が遅延することにより運行全体に遅れが生じるとなれば、急行電車を「利用しない利用客」や「利用できない利用客」の不満さえも爆発させる可能性もある。
まだ具体的な広島電鉄の運行パターンや運行時刻・行き先などが公表されていないためにこれ以上の検討が難しいところであるが、上記のように少し考えても急行電車の運行が引き起こす大きな問題点がある。これらの問題点にも事前に解決策を用意して急行電車の運行に取り組んでいただきたいと考えている。
せっかく利用客の利便性を高めて集客力を高めようとして、問題山積みで逆に利用客の利便性を下げることになったり・利用客に不便を抱かせることとなれば、逆に利用客が離れて行くことは当然のこととなるからである。利用者と広島電鉄の両者がともに利益がある形で急行運転が実現されなければ意味がないことは言うまでもないことである。
著作:石崎達也 制作:有限会社タツヤ模型