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被爆電車の引退・保存について考える
被爆電車の653号と654号が平成18年6月26日に予定されているダイヤ改正に伴なって引退しました。
二両の被爆電車の内、654号は広島市交通科学館に寄贈され、7月21日(金)から常設展示されました。そして653号は車庫で保管されています。

 広島電鉄650形電車は数少ない現役で活躍している被爆体験のある路面電車です。現在四輌の電車が在籍しています。(注記:2006年7月26日で二輌が引退して、現在活躍している被爆電車は二輌です。) かつては多くの被爆電車が存在していましたが、老朽化と電車の世代交代のために次々と姿を消してゆきました。同じ被爆都市の長崎市の路面電車にはすでに現役の被爆電車は存在していないとされています。

 被爆電車といえども乗り物(機械)のとしての運命を持っており、いずれは引退を迎えることになります。引退後は一般に廃車・解体の運命をたどることが普通です。

 機械は古くなった部品を交換すれば新しくなるものですが、駆動部分などの主要部品はその多くが製造メーカーが製造を中止していたり、メーカーそのものが存在しなかたりしています。特注で部品を製造することも可能ですが、年々そのコストは増大するばかりの状況です。ブレーキパッドなどの一部の消耗品を除き、そのほとんどは以前に廃車・解体となった電車から回収した部品によって現役の電車の運行を支えている状況となっています。いずれ古い電車の部品が底を突く状況になってしまいます。

 またすべての部品(車体などを含めて)がすべて新しいものになってしまったとしたら、それは被爆電車と呼べる電車であるかどうか疑問にも思うところです。車体なども耐用年数を経過すると当然老朽化によって保安上の問題も生じることとなるはずです。老朽化をした部分を順次交換した挙句に車体を含めどこにも被爆した部分が存在しない電車は、やはり被爆電車とは呼べるものではありません。

 そして今後の日本の人口統計によれば少子高齢化が確実に進み、公共交通機関の一つとして路面電車にもバリアフリーの考えに基づいたものへと変化してゆかなくてはならない社会的な要求があります。この流れから見れば、新しく超低床電車の導入などが今後進むものと考えられます。高齢者や障害者に優しいとは言えない旧型の被爆電車をいつまでも現役として運行させることは難しくなると考えています。

 しかし被爆電車は被爆建物と同様に数少なくなっている被爆遺産の一つだと考えています。旧日本銀行広島支店の被爆建物は広島市によって買い取られ保存・活用が検討されているものもあります。これは広島市民の被爆遺産への関心の高さの表れだと私は考えています。こうした流れの中で、被爆電車のあり方についても広島市民はどのように考えているのかを意思表示することにより、広島電鉄や広島市などへの働きかけを行ってゆきたいと考えています。

 650形電車は広島電鉄の私有資産です。今後電車が壊れて動かなくなったからとか、老朽化したからと言って廃車・解体をしてしまうことも資産の所有者としては当然の権利です。しかし、広島市民の市民感情からすればなかなか受け入れがたいものであると考えています。こうした広島市民と広島電鉄のすれ違いがあることはとても不幸なことだと考えています。

 そこで今から650形電車の引退のあり方や、引退後の処遇(保存など)について検討することにより、市民の意識としてはどのようなものを望むのかを表明しておくことは、広島電鉄の被爆電車の取り扱いについて影響を与えるものと考えています。広島電鉄といえども一民間企業に過ぎず、市民感情を逆なでにするような行為に出て営業成績を落としたくはないものと私は考えています。しかし、永遠に被爆電車を現役として運行させてゆくにはやはり限界が来ているのも事実です。

 2003年(平成15年)3月に神戸からやってきた1103号が里帰りとして神戸市交通局に引き取られ保存されました。これは数年(5年くらい)にもわたる交渉と用地と予算確保の結果実現したものです。JRなどの鉄道車輌に比較すれば小さな路面電車ですが、現実には家庭の庭先に置いておけるようなものではなく結構大きなものなのです。このような大きなものを保管するにはかなりの時間と予算などが必要なことは当然で、被爆電車の引退について今から検討することは決して遅くはないと考えています。今から5年先のことを考えればもう遅いぐらいだと考えています。2004年秋には新しい国産の超低床電車の試作品が広島電鉄に搬入されることはすでに報道済みで、2005年度から本格導入される見込みとなっています。今から5年先には超低床電車ばかりが駆け抜ける状況になっているものと考えられるからです。

1.掲示板 被爆電車の引退・保存問題 掲示板

  被爆電車への広島市民のご意見を広く募集しております。何かよい考えがあったり、希望などがありましたらメールでお寄せください。掲示板のところに随時掲載してゆきます。メール:tatsuya_model@mbb.nifty.com

 最新の投稿>>[8] 650型とその他の旧型車両の保存について 匿名希望 (2004/5/9 16:37)

2.このページを開設したきっかけ・・・あるTV番組・・・(公開予定)

  参考 社説「広島電鉄650形電車(愛称:被爆電車)の廃車報道について」

3.引退した路面電車の末路

4.2004年夏 ぜひ乗っておきたい650形電車

5.被爆電車653号と654号の最終運転の様子

6.被爆電車の653号と654号の引退について

7.被爆電車654号の搬出作業

8.被爆電車654号の交通科学館への搬入作業

9.被爆電車654号の記念式典

10.参考資料

  被爆電車をもっと知りたい読者さんは下記ウィキペディア(Wikipedia)のページが参考になります。
  広島電鉄650形電車---フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』へリンク

  メモ 広島電鉄は路面電車博物館ではない?

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このページは2003年(平成15年)8月10日に開設しました。
内容は随時更新しています。最終更新日:2006年08月02日

著作:石崎達也 制作:有限会社タツヤ模型